ふじようちえん

2015年9月1日 2学期始業式 園長だより

2015年09月01日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

 朝夕、日ごとに涼しくなり秋を感じる今日この頃、耳を澄ますと、虫の声が聞こえています。考えてみると・・・アブラゼミに始まり、ミンミンゼミでピークを迎え、ヒグラシの美しい声を聞くようになると夏もいよいよ終わりと言う感じで、9月を迎え、コオロギ、鈴虫たちの鳴く虫へとしっかりバトンタッチが行われていました。
 朝の涼しい空気の中、歩いていると、早々にススキの穂を見つけました。ススキのある風景は秋の象徴、そして、お月見には大切な脇役、今年も十五夜にお団子とお芋、そしてススキを飾り、日本の秋の風情を子どもたちに感じてもらおうと思っています。ちなみに、今年の十五夜は、9月27日とのこと、お月さまが出ればいいですが・・・。

 皆様、いかがお過ごしですか? 暑い、暑い夏の疲れ、大丈夫ですか?
そして、夏休みに子どもたちといっぱいの思い出ができましたか? きっと、子どもたち中心の時間に、楽しいやら、振り回されるやらの日々だったかも知れませんね?!
 夏休みに守ることとして“あいさつ、お返事、お手伝い”の3つのお約束をしました。いかがだったでしょうか?便利な現代社会、乳幼児期の自己中心の心から、お手伝いをするようになる自立準備の心が育つ幼児期、幼稚園でもご家庭でも正しい“くせづけ”をすることが特に大切になってきていると感じています。“習慣こそ、第二の性格である”という言葉を忘れず、続けて行きたいと思います。あのイチローさんも、『小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただ一つの道だと思っています』と言っています。
 合わせて、夏休み中は、ディキャンプをはじめ各種イベントにそして夏まつりにと、多くの皆様にご参加頂き、本当にありがとうございました。お陰様で無事、楽しく開催することが出来ました。心より感謝申し上げます。
 特に、先日の夏まつりには、暑い中、藤の会本部チームご父母の皆様にお手伝いを頂きありがとうございました。ラムネ、しっかり子どもたちの思い出になっています。

 さて、夏休みも終わり、楽しい思い出を胸に、本日から二学期が始まりました。
二学期は、みんなが楽しみにしている運動会やお芋掘り、園外保育に脱穀・精米・おにぎり会、クリスマスフェスタにお餅つき・・・多くの行事があります。これらを通じて、日本の秋から冬への季節の変化を感じながら、自然や風土、文化、地域のこと、等々を実体験して行きます。同時に、いろいろな行事を通じて、お友だち同士の関わり合いがたくさん生まれ、活動の幅が一段と広がることでしょう。どうぞ、子どもたちの育ちを楽しみに、見守って頂ければと思います。
 
≪子どもの泣き声の裏側には・・・≫

 夏休み、ご家族連れで賑わうホテル、ビュッフェスタイルの朝食をとっていると、お皿にいろいろなおかずを取っているお母さんの足に2才位のお子さんがしがみついて泣き叫びダダをこねています。朝食会場は、一気に雰囲気が変わり、その声がすべてのことを持って行きました。レストランや飛行機、新幹線等々、公共の場でのこういうことありますよね・・・思い当たる方も多いと思います。この場合、出来れば、子どもさんにジュースかフルーツを先にとってあげ、子どもさんが楽しく食べているところで自分たちの食事を取りに行けばいいのに・・・と方法論、理想論を掲げる雑誌情報を見たことがあります。詳しいご事情は分かりませんが、子どものことより大人のことを優先するとこんなことが起こるように感じます。本当のところは・・・おそらく、そのお母さん、子育てに大変お疲れになっているのだと想像しました。頭では分かっていても、夜も眠れず、毎日毎刻のことになると、ご主人は手伝ってくれないし・・・すべてに100点満点なんかとれるはずがありませんよね。こういう場合、得てして親、特に母親を攻めてしまう空気があるのが世間と言うものですが、子育てしている母親の日常のご苦労も想像してみることも本当に大事だと思います。そして、私たちに出来ることは、『大変ですよね』や『すごいですね』の共感や敬意を意味する言葉をかけることぐらいです。それでお母さんが安心できたり、元気になってもらえればうれしいですね。【泣き声や、世間の理解欲しい子育て】失礼しました。

≪“お”について考える≫

 これは、何かの冊子に載っていた小学校の先生のお話しです。ご紹介します。

 自然と「お」をつけるものは大事にするものと言っています。日本語には「お米」「お金」など、「お」をつける言葉がたくさんあります。また、「お」をつけると不自然になるものもあります。「お酒」と言っても「おビール」とは言いません。「お猿さん」とは言っても「おライオン」とは言いません。なぜ「お」をつけるものと、つけないものがあるのでしょうか。子どもたちに聞くと、良い答えが返ってきました。「『お』がつくのは、日本文化が大事にしてきたものだと思います。」こうした気づきで、子どもは日本のことを好きになっていくのです。私は、「お」がつくものは大事にしなさいと口うるさく言っています。大事にしないと叱ります。給食ではお皿を使います。もし、お皿を投げたりしたものなら叱ります。「日本人が伝統的に大切にしてきたものを粗末にするな」と。教室は「お」がつくものも写真もたくさん貼っています。そうすると、子どもたち自身で気づき、変わっていくのです。子どもたちに、こうしてアンテナが立てば、何を大切にするべきか理解してくれるのです。

こう言う見かた、伝え方があるのですね。ご参考までに。

≪秋、行事で育つ!!≫

 行事の多い二学期の始まりにあたり、繰り返しになりますが、ふじようちえんの基本的な姿勢をお伝えさせて頂きます。
 運動会やクリスマス会は楽しい行事ではあるけれど競技に参加したり、発表したりすることを通じて育つ、いわば装置みたいなものだと考えています。
でもその装置はものすごく性能が良くて、準備や練習の日から当日までの時間の中でお友だちと協力すること、競い合うこと、できたときの達成感、または自分の番を待つあのドキドキ感、人前で発表することの体験等々・・・言い尽くせないほどの多くの体験や心の成長に貢献できることが備わった装置なのです。
そんな訳で、幼稚園のいろんな行事を子どもが育つための大切なステップとして捉えています。ただそのステップは、単に○○が出来るようになったとか、踊れるようになったとかいうことを目的にしたものではありません。それも大事かもしれませんが、それ以上にその日を迎えるまでの方が大事なのです。みんなで練習に参加して力を合わせることを経験したり、かけっこなどで早く走れるように努力する心が芽生えたり、お互いに助け合うことなどを体験できる時間を過ごすプロセスが何倍も重要だと思っています。その為に、例えば運動会では、練習日を色で塗れる“運動会練習カード”を使い、一日一日、練習した達成感を持てるようにしています。当たり前のようですが、日々の保育に力を注いでいくことをより大切にしていくことが、結果として、行事もしっかり行える力が付いていくものと考えています。ふじようちえんの大切にしていることは、子どもの育ちです。そして、子も親も幼稚園もみんなで育ち合える各行事にして行きたいと思っています。運動会に例えると【運動会を教える幼稚園にはなりたくない、運動会でみんなが育つ幼稚園でいたい】ということですね。

 二学期も、教職員一同、力を合わせて、頑張って子どもたちの育ちを全力で支えていきます。どうぞよろしくお願いします

平成27年度 2学期始業式 園長だより vol . 155 (2015.9.1)