2015年4月30日 園長だより
2015年04月30日 / 園長だより藤幼稚園のご父母のみなさまへ
若葉の緑が目にしみる季節になりました。皆様、いかがお過ごしですか?山から採って来た根付き竹の子を園長席前に置いてみました。みんな不思議そうに見ています。
♪やねより たかい こいのぼり おおきい まごいは おとうさん…と元気な歌声がお部屋から聞こえています。園庭の中央では、風薫る五月の空に、悠々とこいのぼりが気持ちよく泳いでいます。こんな風に、歌を実感することが情緒育成にとても大切な時間です。やがて、子どもたちは、こいのぼりの大きく伸びた影を踏もうとしてはしゃいでいます。子どもって、まったく、なんでも遊びにする天才だと思います。真似して、やってみたら・・・足がもつれて。
≪今、大事なこと≫
新しい仲間やお部屋で約一カ月が経ちました。すぐ環境変化に馴染める子、なかなかお母さんと離れられず、毎日お決まりのように別れ際泣いたり、ダダをこねたり…様々な環境への馴染み方をみせてくれています。すべて正しく、やがて時期が来ると慣れ、理解して、親から自然に離れ、むしろ振り向きもせずに一目散で幼稚園のお部屋めがけて走るようになるものです。そのためにも、幼稚園で楽しいことやおもしろいことを体験すること、なかよしづくりが心の支えになり、子どもたちの心に芽生えた安心感をさらに強くすることにつながります。
また、この時期、子どもの心に寄り添うように、子どもの声に耳を傾け、よく聞くことが大事ですね。例えば、あるお友だちが、『先生、見て、見て、きれいでしょ!!』と手のひらにのっている砂場で見つけたきれいな石をみせてもらった時や、『きのう、お父さんとお母さんと一緒に遊園地行ったの!!』…いろいろと聞かせてもらった時などに、子どもの声をよく聞き、うなずき、その心に寄り添うように『すごいね!!』とか『いいなぁ~』と声をかけると、自分のことが認められることを感じて、安心して目を輝かせ、走り去っていきます。こういうふうにして、私との信頼関係は強まっていきます。子どもの育ちに役立っていることを実感する瞬間ですね。
≪これからも、大事なこと≫
先日、今春卒園し、新一年生になったばかりのお友だちのお母さまが幼稚園にみえ、
お礼のご挨拶を頂きました。何故かと言うと、そのお友だちは、入学式やクラスでのお返事やあいさつがとても良く、通学路でも出会う人に毎日しっかりとごあいさつが出来ていて、周りの皆様がとても気持ちよくしているとのことでした。そして、あまりにもあいさつが良いので、ある会で一年生の代表に選ばれたそうです。確かに、在園中はもとより、卒園式でも『あいさつ、お返事、ありがとう』を言っているといいことがいっぱい起きます…という話し、卒園しても実践し続けてくれてこそ、私が考える本当の教育だと思います。幼稚園で靴をそろえることが出来ても、お家で靴をそろえないのでは意味が無いのです。『幼稚園が家で、家が幼稚園だ!!』と言っています。幼稚園で過ごした時間へのお礼を頂き、嬉しかったです。
また、新中学生からも寄せ書きやお手紙をたくさん頂きました。その中に、園長先生の『優しさと笑顔、それでなんでもうまくいく!!』という言葉が印象に残っているとのお便り、うれしい限りです。大きな時間の流れの中で、忘れてしまう子ども時代かもしれませんが、1ミリでも心の中に光り輝くことを願っています。その1ミリが子どもたちの学生生活や人生に役立つことが出来たら本望ですね。その手紙の最後に、小学校の通学路、園バスから三井さんが手を振って下さったのがすごく嬉しかったと書いてありました。先生たちは、いつまでも、いつまでも、子どもたちの成長を応援しています。力をあわせて。
≪行事について考える≫
本日、5月5日端午の節句にちなみ、子どもの日お祝い会をしました。先生から端午の節句やこいのぼりのお話しを聞き、歌を歌い、鎧兜・こいのぼりと一緒に写真撮影、お部屋では昔ながらの柏餅を食べました。柏の葉をはがし、手にべたべたとくっつくお餅に悪戦苦闘しながらも、美味しく、楽しく昔からの文化を体験しました。この味は、みんなで育つ味です。みんなが健やかに育ちますように!!
ここで年間に渡って行うふじようちえんの行事について考えてみたいと思います。よく見ると、子どもたちが体験する行事は、いくつかに分類することが出来ます。
①生活に区切りをつけるもの…入園式、始業式、終業式、卒園式。
②季節を感じるもの…節分、ひな祭り、子どもの日、七夕まつり、お餅つき等。
③生活に必要なもの…避難訓練、引き渡し訓練等。
④成長(発達・成果)を知らせるもの…運動会、クリスマスフェスタ、劇発表会等。
⑤社会的なもの…敬老の日お手紙、高齢者施設訪問、子育て教育フェア等。
以上のように、幼稚園では、いろいろな行事を行います。行事すべてについて、子どもたちの育ちに貢献できるように様々な角度(文化的、歴史的、慣習、日常生活、五感を使うこと、モンテッソーリ教育的取り組み…等々)から捉えています。得てして、私たち大人は、行事と言うと、そこでの成果ばかりに目が行き、凄い、感動した、ダメね、まったく、今度頑張れ…等々の声を発してしまうものです。成果と言うと、例えば劇発表会等々、当日ご覧頂くと分かりやすいのですが、反面、成果だけを見せる出来栄え主義に陥りがちなることも注意しなければなりません。本当に大切なことは、そこまでのプロセス、何が育ったのか?成長の中味だと思います。行事は、あくまで成長を促す環境の一部、子どもの育ちのステージの一つと考えています。つまり、日頃の保育の延長上に行事があり、日頃の保育が行事に反映されて初めて幼稚園の行事であり、子どもが育つ行事と言えるものだと思います。言わば『行事を教える幼稚園にはなりたくない、行事で育つ幼稚園でいたい!!』と言うことですね。
≪最近感じたこと≫
3月末、GSの小学生と一緒に横田基地の保養施設・多摩ヒルズ(稲城市)に2日間に渡り行って来ました。同じ年頃のお子様がいるアメリカのご家族とBBQ、ポニーライド、アーチェリー、ミニゴルフ、そして原っぱでゲームをして過ごしました。その晩、ホームステイしたお友だちもいました。そこで感じたことですが、いつものお部屋で英語のレッスンをしている時には、本当に英語を理解しているのかな?と思っていたお友だちが、アメリカ人の子どもたちと一緒に英語で会話しながら、楽しく遊んでいるのです。大人である英語の先生を相手に話すことやお部屋での英語では見られない光景でした。振り向くと『あれ、英語で話している!!』と言う場面が度々ありました。このことを教訓に、子どもたちだけで遊べたり、楽しく過ごせる環境をつくることも必要なことだと勉強しました。今後に向けてチャレンジして行きます。子どもたちが気づかせてくれる事って…多いですね。
先日、研修会であるホテルに宿泊した時、大浴場前の脱衣室でのことです。たまたま一緒になった方が、見るからに怖そうな人相で体も大きく…少しいやだなと思ったのも正直なところです。でも、そばには4才位のお子さんがいたのです。あっ、お父さんだったのかと思いながら聞いていると、『脱いだ服はきちんとたたんで』と丁寧な言葉で指導しているのです。手を貸すことなく、お子さんがちゃんと服をたたむのを待っているのです。自分の脱いだ服をちゃんとたたむ子どもも偉いですが、待ってあげられるお父さんも偉いなと思いました。人は見かけで判断してはいけませんね。そして、きっと、この子は、後始末がしっかり出来る人に育っていくことでしょうね。
園長だより vol . 151(2015.4.30)