ふじようちえん

2007.7月   園長だより

2007年07月19日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ
 
いよいよ夏休み、海へ山へ色々な計画で楽しいことと思います。皆様、如何お過ごしですか?
ご家族で過ごす貴重な時間、楽しんで下さいね。夏の楽しい家族旅行の思い出は小さい心に刻まれて一生持ち続けるような気がします。(連れて行く親の一方的な意見かも知れませんが・・・)
梅雨の合い間をぬって行なったプール遊びでは、子どもたちの元気な声が響き渡っていました。水道のホースで水をかけられ、みんなすごい興奮状態、うっかりしているとこちらにも水しぶきが飛んできそうでした。なんと、園長先生に水をかけよう!! なんて悪だくみを相談したりして・・・そんなことをしながら、子ども同士仲良くなっているようです。お友だちと協力して園長をかまうほど成長していることを素直にうれしく思います。ちょっと、変ですかね?
みんなでいっぱい遊びながら育ち合った一学期も今日で終わります。交通安全、プール・海等々の水関係、知らない人、知らない場所での一人行動・・・に充分注意され、気をつけて楽しい夏休みを送って下さいね。また、元気に会いましょうね。みんなで待ってますね!!

≪17年ゼミ≫
 17年間土の中にいて、土の養分を得て育ち、幼虫となり、森のある夜に一斉にセミのコマが土から出て羽化し、成虫になります。余りにも圧倒的な数が成虫になる為、森の中はセミだらけ、そしてそこに集まる動物は、カミツキガメ、リス、テン・・・でも食べるのも限界があります。生き残った圧倒的な数のセミは、交尾し又子孫を残すのでした。敵を凌駕する圧倒的な数によって生き残る方法でした。ただ、漠然としたセミのこととお思いでしょう。実は、この17年ゼミ、生態もさることながら、なんで17年周期の生物なんだろうと私は以前から疑問を持っていました。
偶然にも、新聞を読んで感心したのでお伝えします。屈指の科学者が目にも楽しい実験等で科学の面白さを伝える『英国科学実験講座』の日本版でのことです。
内容は、“素数”の話になります。“素数”・・・1と自分自身以外では割り切れない正の整数。
1~50までの中で素数を見てみると2、3、5、7、11、13、17・・・。となります。
17年ごとに大発生するセミ、他にも13年、7年周期のものもいるとのことです。いづれも素数です。この素数という戦術は、セミが子孫を絶やさぬように進化の過程で身に付けたという仮説が展開されました。また、セミの天敵も何年かおきに発生すると仮定すると、セミは、天敵と出来るだけ重ならないような周期で発生するのが有利になる訳です。どんな数の倍数とも重ならない数、それが素数。セミの発生間隔が素数に基づいているのには、ちゃんとした理由があったのです。
セミと数学の関係?から学ぶ楽しさ、科学への関心に触れて頂けたら嬉しいですね。
今、園長机の前の縁台に、くわがた、カブトムシ等々がたくさんいます。その中のスズムシが、リーーン、リーーンと鳴いています。この鳴き声にも訳が?さて、何んなんでしょうかね?

≪子守り唄≫
 ある6月の土曜日、近隣にお住まいでご活躍されている陶芸家の方が、九州から来られた大学教授と企画会社代表、国分寺市から子守唄唄いと称する方達を連れてお越しになりました。意外にも、その皆さんは、ブログで知り合ったとのこと、今はそういう時代なんですね。それぞれに話するのも初めてとのこと、ビックリです。それぞれに楽しい方々で自分の世界をお持ちの方ばかり、ふじようちえんに大変興味を持って頂きまして楽しい時間を過ごしました。その中の、子守唄唄いの方にまた別の日にご来園頂き、あるクラスで唄ってもらいました。
やさしい歌声とゆったりと流れるメロディに子どもたちは、何かを感じてシーンと静まりました。時代を超えても通じる日本の心、情感を子どもたちも感じてくれたようです。そして何より、私も久しぶりに聞いてみて、子守唄の真ん中には“子を思う親の無償の愛”があることも改めて感じました。子どもを抱っこして子守唄を唄う時、その唄声が振動となり、子どもの体と心に本当に心地よく伝わり安心して眠りにつくとのことです。男性の私には、正直、子守唄にそんなメカニズムがあったのかと思い知らされました。
子守唄が母親や祖父母が唄うイメージで、男性にはちょっと遠い感じでしたが、お父さんの唄う子守唄も頑張って見たいものですね。また、今度、幼稚園で開催している親子教室に来て頂き、短い時間ですが子守唄を皆さんに聞いて頂こうと企画しています。
子守唄、ちょっと昔風の話ですが、大切な親子関係の出発、基礎を教えられた気がしました。

≪ゴミを拾う≫
 毎朝、午前6時、JR新宿駅東口広場で掃除をしている青年がいます。上智大学4年の荒川祐二さんは、ジャージ姿の背中に『一緒にそうじをしてくれる人募集』という手書きの段ボールを掛け頑張っているのです。自主映画を見たのがきっかけとの事です。この映画は、元芸人の男性が日本中に呼びかけて大量のマフラーを編んでもらい途上国の子どもに届ける経緯とその反応をとったものだったそうです。『一人が動けば、世界も変えられる』と感動し、以前から気になっていた新宿東口広場のごみを片付け始めました。吸殻や空き缶、食べ残しの弁当等々『最初はやけくそ半分だった』とのことです。でも、掃除を終えてはじめて見た『ごみのない風景』が気持ちよかったとのことです。手伝ってくれる人もいないし、最初の2週間はやめようと思ったことも200回位あったけど毎日続けるうちに10人前後の若者が清掃活動に加わるようになりました。今では、ホスト風の男性たちが、チラシなどのゴミを手渡してくれたり、あるホームレスの男性からは缶コーヒーを貰ったなんてこともあるそうです。そして、始めた頃に比べるとゴミの量は約半分になり、時間も半分になったとのことです。
今、新聞やテレビで取り上げられていますからご案内の方も多いかもしれませんね。この荒川さんがふじようちえんに来てくれてお会いしました。具体的には、9月8日(土)に開催される『子育て教育フェア』内でのブースの出店の話でした。が、以前から私は、子どもたちにゴミについての教育をどんな風に伝えれば良いのか考えていましたし、分別することやリサイクルのことを伝えることもこれからの幼児教育の中にあるべきだと考えていました。しかし、ちょっと子どもたちには難しいし、もっと根源的にできないものか?また、もっと簡単で習慣づけになるものはないか?と思っていました。荒川さんと出会い、その考えがスッキリとしました。
まず、幼児期のくせ付けとして『ゴミを拾う』この一点だけで良いから習慣づけたいと思います。
建物自体が子どもを育てると言って、ふじようちえんではひもスイッチで電球を付けたり消したり、靴をそろえたり、戸をきちんと閉めたり、蛇口を閉める・・・をしていますが、これからより明確に“ゴミが子どもを育てる”と定義して身近な『ゴミを拾うこと』から始めたいと思います。
見方によっては、ゴミのあふれる街は、大人の取り組み次第で子どもたちへ伝わり、やがて子ども自らがゴミを拾う、“子どもが育つ街”へと変身できるチャンスのある街なのかもしれません。
とにかく最初の一歩を踏み出す人は尊敬しちゃいますね。荒川さんのプロフィールに座右の銘として『誰にでも出来る事を、誰にも出来ないほどする』すごい青年です。
何か夏休みの過ごし方の参考にもなりそうですね。皆様、どうぞ良き夏を!! では、また。
園長だより  vol . 53 (2007.7.19)