ふじようちえん

2015年12月21日 園長だより

2015年12月21日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

 ある晴れた日、見晴らしの良いキッズテラスの屋上では、冬とは思えない強めの日射しに、様々な色のパラフィン紙が影を落とし、とてもきれいです。きれいな影を眺めていると・・・壁や床に映っている様々な色の丸や四角、ハート型やアップル型・・・を、子どもたちは、影踏み遊びのように踏んでは歓声を上げています。私は、ロマンチックな気分になって“空のステンドグラス”と呼び、その美しさに満足していましたが、子どもたちには、色影踏みと言って、競って影を踏んでいました。まったく、見方いろいろ、関わり方いろいろ、子どもはなんでも遊びにしてしまう天才ですね。

 ♪かきねの、かきねの、曲がり角、たき火だ、たき火だ、落葉たき・・・元気な子どもたちの歌声が聞こえています。でも、本当なら、12月この時期は、♪北風、小僧のかんたろう!! カンタロウ~!!の歌声が聞こえているはずなのですが・・・暖かい冬の到来は、子どもたちの歌にも影響を与えているようです。でも、逆に園庭の芝生には最高で、例年になく順調に伸びて鮮やかな緑色です。それだけ温かいのですね。
 皆様、いかがお過ごしですか?年の瀬を迎え、慌ただしい日々をお過ごしのことと思います。さらに、冬休みになり子どもたちもお家にいて、さぞにぎやかなこととお察し申し上げます。私も11月半ばぐらいから、大掃除や年賀状・・・と思いつつ、ほとんどできてない今を迎えています。まぁ、毎年のことですが。

 本日、終業式を行い、2学期を無事終了することが出来ました。これもひとえに、ご父母、ご家族様方のご理解、ご協力のお陰と心より感謝申し上げます。
 終業式では、♪もういくつ寝ると、お正月、お正月には凧あげて・・・の“お正月”をみんなで元気に歌い、私から、ごあいさつ・お手伝い・交通安全のことを話し、3学期また元気に会うことを約束しました。特にお正月には、ご親戚の方々に会う機会が多くなります。その時には、しっかりとごあいさつをしましょうと伝えました。そして、お年玉の頂き方を実演してみました。まず、お年玉を頂く時には、頂く人の方を向き、相手の目を見て、両手でしっかり受け取り、『どうもありがとうございます』とはっきりとお礼を言い、頭を下げること。そして、頂いたお年玉は、お父さんお母さんにすぐ渡すこと、これが正しいお年玉の頂き方ですと伝えました。
 きちんとした礼儀・挨拶が、相手への敬意を表すことになり、感謝の心を育てます。お正月、お年玉で、子どもたちの感謝の心を養いたいものです。

 話しは戻りますが、先日は、多くのご父母の皆様にお餅つきのお手伝いを頂き、ありがとうございました。お父さま方、あれから腰や肩、腕は大丈夫でしょうか?「よいしょ!! よいしょ!! よいしょ!!・・・」と、いつまでも続く子どもたちの元気な掛け声に、振り上げた杵を止めることが出来ず、ついつい頑張り過ぎた?方もいたのではないでしょうか。親も子も、ペッタン、ペッタンという実感を体験したお餅つきでした。『うすと杵、持って実感、おもちつき、ついて、丸めて、食べてみる、楽しく、美味しい、お正月』心はすでにお正月、みんなでお餅を食べる幸せを楽しんで下さい。

≪自然から学ぶ≫
 近くでいつもお世話になっている国営昭和記念公園の中に、TVドラマ『北の国から』の脚本家・演出家である倉本聡さんが主宰する“富良野自然塾”があります。
環境をテーマにして、地球の誕生から現在に至るまで、その環境の変遷を体験しながら、地球環境への理解とこれからの私たちの生活の仕方、自然とのつき合い方が学べる内容になっています。ふじようちえんの先生たちも、今年の6月に受講しました。皆様も、お近くですので1度体験されてみるのもいいかと思います。楽しいです。
 実は、その富良野自然塾の方々と話している中で、とても興味があることを伺いました。ご存知の方も多いと思いますが、私たちが日常使っているものの中には、自然界からヒントを得て出来たものがたくさんあるというお話です。
 例えば、道端や野原にある雑草で、丸まったトゲトゲがセーターなどにくっ付く“ひっつき虫”(私はバカの実と呼びますが)から、そのくっ付く原理を応用してマジックテープ(面ファスナー)が開発されたり、蚊が肌を刺すことから、なぜ?超極細針なのに血が通るのだろうと考えて、痛くない注射針が開発されたとのことです。
興味深いので調べてみると、植物のハスの葉っぱに溜まる水滴から、超はっ水技術が生まれたり、いつもきれいでつやつやしているカタツムリの殻の汚れないメカニズムを活用して、汚れないタイルが出来ているのです。他にも、ハコフグから、スムーズに走る効率のいい車体やフクロウ・カワセミから、早くて静かに走る新幹線技術を開発したり・・・多くの事例がありました。見える人には、見えるというか?自然にひそむあたり前を、なぜだろう?と思う力、驚く力が、すごい技術につながり、未来をつくっているようです。(出典:ヤモリの指から不思議なテープ)
 以前から私は『驚きは理解にはじまる!!』と言って、子どもの時代は、様々な実体験を通じて、発見や驚きを大事にと考え実践しています。発見や驚き、こればかりは、子ども自ら感じ、つかむもので大人が教えてあげられるものではないのです。まずは、自分で見たり、聞いたり、さわったりして体験すること、そしてその体験で感じること、そこからさらに考えて、行動に結びつけること・・・この循環が大切だと思います。自ら育つ力は、様々な場面で、自ら感じて、考えて、行動することなのです。教育と言うと、一般的に知識の伝達になりがちです。確かにそれも必要であり大切だと思いますが、様々な情報が簡単に調べられる現代社会、未来に生きる子どもたちに本当に必要な力は、“考える力”だと思います。自ら考えることが、脳の成長を促し、本当の意味での理解力や生きる力につながると思います。
 人との出会いや文化伝統風習を含めて様々な体験ができて、親子のふれ合う時間ができる冬休み、子どもが育つ時間としての角度からも捉えて頂ければ幸いです。
 22世紀のマジックテープ?を待っています!!

≪伝統・行事・風習・イベント・・・の役割≫
 これからの行事風習等々を書いてみました。まずは、冬至にゆず湯、クリスマス、仕事納めに大掃除、宝くじに大晦日、年越しそばに歌合戦、元旦、日の出に松飾り、初夢、福袋、初詣、お雑煮、おせちに鏡餅、書初め、お年玉、年賀状、仕事始めに七草がゆ、お汁粉、甘酒、鏡開き、どんと焼きに小正月・・・全部行っていたら大変です。でも、行事は、人の一生に深く関わっていて、織物の縦糸と横糸の関係だそうです。七五三や成人式のように人生に一度きりの行事を縦糸に、毎年繰り返す年中行事を横糸にして織られていると例えられています。毎年、同じことが同じように出来ることが、一番の平安とのことです。どちらも節目に“魔”(間)が入らぬようにしっかり織り込んで行くことが大切なのです。
 日本の行事には、意味と言われがあり、永い歴史や風土、遠いその昔、先人達がつくり、始め、繋いできたものです。改めて、“年を越す”という様々な意味をかみしめて、来るべき新年へのさらなる飛躍としたいものです。
 本年も、大変お世話になりました。どうぞ、良いお年をお迎え下さい。

平成27年度2学期終業式 園長だより vol . 159 (2015.12.21)