ふじようちえん

2009.9月始業式 園長だより

2009年09月01日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

皆様、夏休み、ご家族で楽しく過ごされたことと思います。
夏休みも終盤のある日、幼稚園の屋根に上がり空を見上げていると、お友だちから『園長先生、なに見てるの?』と聞かれ、『うん、お空の雲、見てるんだよ』と答えると、その子は空を見上げて、『わぁ~、綿あめみたいだぁ~』・・・何処かの夏祭りにでも行ったのでしょうか?この夏を過ごした子どもらしい思い出の一言に思わず嬉しくなりました。
今朝、それぞれの夏休みを過ごしたお友だちは、たくさんの思い出を胸に元気に登園してきてくれました。久しぶりに会ったお友だちと幼稚園のあちこちにかたまりが出来て、それぞれの夏休みのお話で弾んでいます。夏の思い出が子どもを育てている場面ですね。
園庭を見ると、子どもたちはバッタを捕まえたり、トンボを追いかけています。だんだんと秋の空気になっているのですね。
二学期も教職員一同、力を合わせて子どもたちの育ちに少しでも貢献できるように頑張って行きます。どうぞよろしくお願い致します。また、藤の会の皆様やご父母、ご家族の皆様には各行事へのご参加、ご協力を頂く場面もございますが、重ねてどうぞよろしくお願い申し上げます。

<自立へ向う秋>
二学期と言えば秋、秋と言えば運動会と想像される方も多いと思います。二学期には運動会やクリスマスフェスタを始めとしておいもほり、園外保育やおもちつき大会などがあります。私は、それらの行事に対する基本的な姿勢、心構えとして先生方に伝えていることが二つあります。それは、子どもが育つ場所である幼稚園がする行事とは、ただ行う事(字のとおりの解釈)ではなく、どんな行事でもあくまで保育の一環として捉えることが一つ。そして、一人ひとりの育ちにその行事がどう貢献できるのかを見極めて、それに似合う環境づくりや保育内容を考えてあげることの二つです。
冷静にみると運動会やクリスマスは楽しい行事ではあるけれど競技に参加したり、作品をつくることを通じて育ついわば装置みたいなものと考えられます。
でもその装置はものすごく性能が良くて、準備から当日までの時間の中でお友だちと協力すること、競い合うこと、できたときの達成感、または自分の番を待つあのドキドキ感、人前で走ったり、踊ったり、歌ったりの体験等々・・・言い尽くせないほどの多くの体験や心の成長に貢献できることがいっぱい用意されています。
幼稚園のいろんな行事を子どもが育つための大切なステップとして捉えています。ただそのステップは、単に○○が出来るようになったとか、踊れるようになったとかいうことを目的にしたものではありません、それも大事かもしれませんが、それ以上にみんなで練習に参加して力を合わせることを経験したり、かけっこなどで早く走れるように努力する心が芽生えたり、みんなで踊りを覚えてお互いに助け合うことなどを体験することが何倍も重要だと思っています。
ふじようちえんの大切にしていることを少しだけでいいですからご理解頂き、子も親も幼稚園もみんなで育ち合える・・・運動会を始め各行事にしていけたらと思っています。
運動会を例にすれば、「運動会を教える幼稚園にはなりたくない、運動会でみんなが育つ幼稚園でいたい」ということです。

<こんな文に出会いました>
〔プールに飛び込んだ校長先生〕     雑誌『致知』2007.12月号より
ある高校で夏休みに水泳大会が開かれた。種目にクラス対抗リレーがあり、各クラスから選ばれた代表が出場した。その中に小児マヒで足が不自由なA子さんの姿があった。からかい半分で選ばれたのである。だが、A子さんはクラス代表の役を降りず、水泳大会に出場し、懸命に自分のコースを泳いだ。その泳ぎ方がぎこちないと、プールサイドの生徒たちは笑い、野次った。その時、背広姿のままプールに飛び込んだ人がいた。校長先生である。
校長先生は懸命に泳ぐA子さんのそばで、「頑張れ」「頑張れ」と声援を送った。
その姿にいつしか、生徒たちも粛然となった。
仏法に「無財の七施」という教えがある。財産が無くても誰でも七つの施しができる、喜びの種をまくことができるという教えである。財産が無くて、どうして施しができるのか。何を施せるのか。
 『雑宝藏経』は、「仏説きたもうに七種施あり。財物を損せずして大果報を得ん」として、七つの方法を示している。
一は「眼施」──やさしいまなざし。
二は「和顔悦色施」──慈愛に溢れた笑顔で人に接する。
三は「言辞施」──あたたかい言葉。
四は「身施」──自分の身体を使って人のために奉仕する。
五は「心施」──思いやりの心を持つ。
六は「床坐施」──自分の席を譲る。
七は「房舎施」──宿を貸す。
 大きなことでなくともいい。人は日常のささやかな行いによって喜びの種をまき、花を咲かせることができると釈迦は教えている。
・・・仏法のことはまったく不案内ですが、何かのご参考になれば幸いです。
                               
園長だより vol. 72 (2009.9.1)