ふじようちえん

令和2年度2学期始業式 園長だより vol . 224(2020.8.20)

2020年08月20日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

立秋が過ぎ、暦では秋、例年なら、少し涼やかな秋風を感じ、中秋の名月のお話やコオロギの心地よい音に小さな秋を感じ始める頃ですが、それどころか、連日の猛暑、まだまだミーン、ミーンと元気な声でセミは鳴いているし、クーラー、扇風機に、かき氷やアイスクリーム、そうめん、冷やし中華…とついついひんやりするものを恋しがっている今日この頃です。
皆様、どんな夏をお過ごしですか?今年は、いつもと違い帰省もままならない中、また、マスク着用、ソーシャルディスタンス、感染防止へ気配りしながらの外出等々、特別な夏でした。でも、そんな中、お出かけしなくてもお家でBBQやゲームで盛り上がって楽しかった等…どんなことも楽しんで大切な夏の思い出にしているお話も聞き、とてもうれしくなりました。なんでも、ものは考えようですね。

先日、突然、ある卒園生が来園してくれました。聞けば、4歳から始めた野球を続け、甲子園を目指して福島県・聖光学院で、今夏、福島県大会、さらに東北大会にも優勝することが出来たとのことです。凄いことです‼全国的にも名高い野球の強豪校、しかも、その主将だったとのこと、さらにびっくりしました。多分、人には言えない努力と様々な思いを胸に頑張って来た結果が出たものと思います。心からの祝福と大きな拍手を送りたいと思います。ちなみに、担任は梅田佑貴先生でした。梅田先生曰く、給食時、先生が『おかわり、どうぞ』と言った時にお皿を持ってすぐに出ていけるように、振り向く練習を何回もしていたことを憶えているそうです。さすが、幼い時からなんでも練習していたんですね。日常こそ、未来につながっているんだと思います。そして、彼は『ふじようちえんでいっぱい遊んだから、今日があるんです‼』と言ってくれました。嬉しくて、泣けてきます。活躍する卒園生の姿は、本当に嬉しいものです。園長、先生冥利につきます。こちらこそ、素晴らしい報告に感謝です。
(記事、画像は本人了承のもとに掲載させて頂いております。)

≪コロナ禍、行事で育つ‼≫
現在、コロナ禍の中、出来る限りの点に配慮しながら保育をしています。只、残念ながら、イベントや行事、例えば運動会などはやり方を変更せざるを得ない状況になっています。行事は、本来、単に行事を行うこと自体が目的ではないと考えています。子どもの育ちの観点から、行事によって子どもたちが力を合わせること、協力すること、表現力など様々なことが育ったり、行事に向けて練習することで得られる満足感や達成感、やがて自信を持ち、自立に向かう力になって行くことが本来の目的だと思っています。結局、行事ができないことがマイナスなのではなく、行事で得られるはずのことが得られなくなることが本当のマイナスなのです。毎年楽しみにしている行事はできないけれど、今年は特別にこんな活動ができた、こんな披露ができた、という体験で得られることが大切なのではないかと思います。
全員が1箇所に集まって皆で行うことばかりが行事とは限りません。これからは、ICT活用で、今までとは違った物事のとらえ方の中で、感じたり、学んだり、育っていく時代だと思っています。いずれにせよ、私たちが創意工夫することで新しい生活様式の中で子どもたちの育ちを支えていくことが新たなステージでの役目だと思っています。これからも、引き続き、みんなで力を合わせて頑張って参ります。

≪きれいな石で育つ‼ひみつ≫
よく聞かれるお砂場のことをお伝えします。以前、お話したことで、繰り返しになる方もいらっしゃると思いますが、ご了承下さいませ。
『先生、見て!! 見て!!』振り返ると、そこには小さな手のひらにのせた、小さく赤いきれいな石がありました。『わぁ~すごい!! 持って帰ってお母さんに見せたらいいよ』と言うと、職員室にビニール袋をもらいに一目散に走って行ってしまいました。
幼稚園の砂場には、きれいな色の石が埋まっています。と言うより、意図的にきれいな石を蒔いています。子どもたちには、『昨夜、流れ星がいっぱいだったから、その中のものが砂場にも落ちたんだね』なんて言って、夢みています。が、実はいろんな理由・目的があります。
きれいな石探しで、育てたいもの、育ってほしいこととは、
①細かいものを探すのに指先をたくさん使い、触覚を研ぎ澄ましてもらいたい。指先は、脳の出先機関、いっぱい使うことで脳への刺激になり、成長につなげたい。
②見つけたきれいな石はお家に持って帰ってもいいことになっています。約束は、只一つ“いっぱい取れたお友だちは、取れなかったお友だちに分けてあげること”と言うのがあって、他のお友だちへの思いやる心を育てたいと思っています。
③自分で見つけたことを実感し自信をつけてほしい。ちょっと昔なら自然の中でカブトムシやクワガタ等々を見つけることが日常的にありましたが、今は中々この“見つける体験”をすることができません。
④子どもたちを見ていると、お友だちが大きくきれいな石を見つけると、自分も大きな石が欲しくなり、いや、それ以上にもっと大きくきれいな石が欲しくなり、頑張ってそれまで以上に砂場のいろいろな場所を探し始めるのです。はっきり言って、教育・保育界では、あまり触れませんが、子どもの“欲”を育てたいと思っています。なんでも買ってもらえる今の子どもたちを見ていると、欲は無いけど知識は豊富、と言う感じがします。50ccのエンジンで大型ベンツを走らせるようなものなのです。
私の勝手な考えですが、人間、誰でも、生まれてから最初はどうしても“我欲”が優先し、それがある程度まで行った時、初めてまわりへの配慮、“公共の欲”と言いますか、みんなも欲しいんだと言うことに気づき、1人占めしないで分け合う方がいいんだと考えられるようになるものと思っています。最初から、みんなで分かち合う事ばかりが優先しすぎると、本当に自分で獲得する力、意欲、意志・・・生きる力が、育ちにくいのではないかと思います。

いろいろお話させて頂きましたが、きれいな石を大事にしている子どもたちを見て、私は、いつも思うことがあります。
それは、『子どもって、与えたものは、すぐ無くすけど、自分で見つけたものは本当に大切にする』ということです。 何か、思い当たりませんか?

令和2年度2学期始業式 園長だより vol . 224(2020.8.20)