2023年度 2学期終業式 園長だより vol . 270 (2023.12.22)
2023年12月22日 / 園長だより藤幼稚園のご父母のみなさまへ
冷えた空気の中、園庭に冬の陽ざしが注ぎ、葉を落としたけやきの枝や幹の影が、芝の緑に映り、とても鮮やかです。今年は、暖冬なのか?比較的あたたかな日が続いたり、急な寒波がきたりと20℃近い寒暖差、皆様、いかがお過ごしですか?ご自愛ください。
本日、2学期終業式を行いました。初詣やお雑煮、おみくじ、年賀状・・・たくさんの楽しいことがあるお正月についてお話ししました。特に、【お年玉をもらうときは、必ず両手で受け取り、相手の目を見て「ありがとうございます!!」としっかり言い、いただいたお年玉は、誰からいただいたかを必ず言って親に渡すこと】と伝えました。親戚等々、いろいろな人と出会うお正月、子どもたちのマナーやご挨拶を育てる場面がたくさんありますね。どうぞ、楽しいお正月をお過ごしください。
≪育てたい‼クリエイティビィティ≫
先日の12月9、10日、各クラスの歌発表とアートライヴ(作品展)からなる
“クリスマスフェスタ”に多くのご家族様にお越しいただき、本当にありがとうございました。お家の方に歌を聴いてもらっている時や作品を見てもらっている時の子どもたちの顔には、人前に出る照れくささや人に見てもらう恥ずかしさの中にも、その子、その子なりの自信と達成感を感じ取ることができました。
特に、子ども同士で話し合う“子ども会議”から始まった作品づくりでは、子どもたちそれぞれが考えた数々の作品に感心された方も多かったのではないでしょうか?話し合いから始まった作品づくりでお伝えしたかったことは、クリエイティビティなのです。確かに、ある問題に対して早く正確な答えを出すことでは既に人間を超えていると言われるAIですが、まだAIには、手を使っての肌感覚、その感触を感じての創造力は出来ていません。多分、このクリエイティビティこそが、人間の人間たる所以であり、人間の最後の砦と考えています。
これからの時代を生きるお友だちにとって、とても大切な創造力…未来に繋がる力はアートや音楽…の中でいっぱい培えるものと思います。上手とか、どうとかという昭和の観点ではなく、作品づくりを通じて、子どもたちが生き生き育っている時間を感じてもらえたら幸いです。ちなみに、このクリエイティビティの芽は、子どもの時の“あそび”の中にあると考えています。まさに、“あそびがまなび”そして、“あそび”のまん中にあるものが、“おもしろがる力”だと思います。
最後になりましたが、サンタさんも来てくれて、ありがとうございました。感謝‼
≪みかんで育つ、子どもたち‼≫
スマイルファームのみかんの木に実ったみかんを収穫し数えたら、552個ありました。職員室前のテーブルに、紙で縦に1~9、横に10~100、200~500の表示をして、数を“数字と数詞と量”で示してみました。みかんを見ながら『100ってこんなにいっぱいあるんだ‼』なんて言う声も聞こえ、みかんも食べるだけじゃなく、数の理解に役立ったと思えた場面でした。もちろん、その後おいしくいただきました‼手前味噌ですが、採れたて新鮮な幼稚園のみかんは、本当においしいです‼
≪大根で育つ、子どもたち‼≫
スマイルファームの大根もすくすく育ち、先日、大根掘りを行いました。お友だちの姿も見えないぐらいに大きく育った大根、それを抱えて、引っ張ると…いよいよ土の中から大きな、大きな大根が出て来ました。抜けた時のうれしそうなお友だちの顔、輝いている眼には、純粋に子どもの喜びそのものを感じました。子どもたちにとっては、重たくて、自分の掘った大根、大切に抱えている姿に『自分で採った‼』という自信を感じました。まさに、大根で育つ、子どもたちですね。どうぞ、ご家族でお子様が抜いた大根をいろいろなお料理で食べてくださいね。スーパー等で大根はよく見ていますが、畑で大根を抜くところから大根と付き合うことはそうそう体験することはないと思います。こういう大根や野菜の本当の姿を見てもらう体験を通じて、子どもたちが豊かに育っていってほしいと思っています。
≪縦、横、斜めで子どもは、育つ‼≫
以前にもお話ししましたが、先日、藤原和博氏(㈱リクルートから義務教育初の民間校長になった教育改革実践者)と久しぶりにお会いし、改めて感じましたのでお伝えします。私は、基本的に子どもたちは、他人の中で育っていくと思っています。ただ、他人といってもわかりにくいので、少しご説明します。
幼稚園のお友だちは、親と子、先生と園児の間で何かを指示して動くような関係の縦のつながりであったり、一緒に遊んだり、ふざけたり、共通の話題もあり、楽しさも共有できる同級生や友だち同士の横のつながりがあって日常過ごしています。この縦と横の関係を建物に例えると、縦関係が柱、横関係が梁(ハリ)になるとも言えます。でも、柱と梁だけの建物では、風雨に耐えきれず強い風が来ると倒れてしまうというのです。建物では、あまり目立ちませんが、柱と梁を結びつける斜めに通る“筋交い”というものがあります。柱と梁の縦横の関係を強くする、言わば、ナナメの関係ということになります。この筋交いが入っていると地震にも強い建物になります。人間関係やコミュニケーション力でもナナメの関係は大切です。学校では、担任より保健室の養護教諭とか、また、担任よりも部活動の顧問とか、楽しい近所のお兄ちゃんとか、同じ趣味の大人とか…という感じです。差し当たって、園児の場合なら、親戚やいとこ、お友だちのご家族等々が幼児期の筋交いの役目になるのかもしれませんね。友だちのような立ち位置ではない人の力が人間関係、コミュニケーションの幅を広げることになります。ナナメの関係をつくって、多様性、正解のない時間を幼児期でも過ごして欲しいと思いました。
親戚やいとこ等々、いろいろな人と出会う機会が多いお正月、このナナメの関係をつくるチャンスです。どうぞ、チャレンジしてみてくださいませ。
ちなみに、藤原和博さんと私の楽しい対談がYouTube『朝礼だけの学校 特別対談』、または、藤原和博×加藤積一で出ています。よろしかったら、ご笑覧ください。
本年も、大変お世話になり、ありがとうございました。新年が、平和で、皆様にとっていいことがいっぱいありますように…心からお祈り申し上げます。よいお年を‼
2023年度 2学期終業式 園長だより vol . 270 (2023.12.22)