ふじようちえん

2015年6月29日 園長だより

2015年06月29日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

すがすがしい初夏の季節となりました。木々の緑も日増しに深くなり、子どもたちはプール遊びに歓声をあげています。園長席の前には、カブトムシ、クワガタ、ザリガニ、なす、きゅうり…夏の主役が登場してきました。みんなで虫をながめて、おっかなびっくり・・・好奇心いっぱい・・・ふれて、感じて、虫たちと仲良くしています。
子どもたちに何でカブトやクワガタが好きなの?と聞いてみたら、形がカッコイイ、角が強そうだから、かわいいから…いろいろな理由がありました。そして、必ず、自分の家には〇○が〇匹いるんだよ!!と言うのです。自分で飼っているカブトムシのことをお友だちに話して、自慢したり、私はスゴイです的な優越感をもつ貴重な体験もしているようです。カブトムシ、クワガタ…“虫が育てる夏の子どもたち”ですね。

 ≪お父さん、輝く!!≫
先日は、家族参観日に多くの皆様にお越し頂きまして、心より感謝申し上げます。会の始まりに、大変失礼とは存じましたが、ご家族様一緒にお名前呼びをさせて頂きました。これは、ふじようちえんがいつも言っている子育ての基本中の基本、そして、子育てのすべてと言ってもいい『大人が手本!!』を実践して頂いたものでした。各ご家族様、子どもたちに負けず劣らず、大きく元気なお返事をして頂き、本当にありがとうございました。お部屋で親のしっかりとしたお返事を聞いたからか?最近、子どもたちのお返事が、はっきり、しっかりして来たように感じるのは私だけでしょうか?まさしく、大人が手本!!ですかね。これからもよろしくお願いします。
また、当日、子どもたちは、お部屋にパパ、ママがいることだけで、本当にうれしそうでした。親子で作った制作物や楽しいゲームを通じて、いつもの幼稚園での様子やお子様の成長を感じて頂けたものと思います。そして、何よりもお子様からの歌や手づくりプレゼントには、皆さん感激で・・・目頭に熱いものが流れました。これこそ、家族参観日の本当の価値なのです。親子で過ごした家族参観日、ご家族の大切な思い出となり、一生の宝物にして頂けたら本当うれしい限りです。子どもからこんなプレゼントをもらったら、仕事や家事の疲れもどこかにふっ飛んでしまいますよね。 
どのご家族様も光っていました。特にお父さんは、お父さん色に輝いていましたね!!

≪秘密のふじようちえん≫
この前、『園長先生の好きなものなぁ~に?』と子どもたちに聞かれました。私の好きなものは・・・自然の中にいることとショッピングモールのような都会的な中にいることなのです。簡単に言えば、森とお買い物、自然と都会、両方が好きなんですね。(欲張りですかね?)そんな思いを込めた園舎は、外側に木々が多くある自然を大切にしている森、内側(園庭側)は曲線のひさしを持ったショッピングモール?(実際、ガラス越しに見える教室は、学びのショーウインド!?)なんて説明をしています。
では、次にこの建物と子どもの育ちのつながりをいくつかお話しましょう。パンフレットの子どもが育つ状況説明図と重複するところもありますが、あしからず。
・門…本当の役割は時間を守ること、時間を守るがための道具としての門なのです。
・電球…電気そのものを見せたい!! 蛍光灯の光もいいのですが、電気そのものを伝えたいから電球にしました。でも、最初にあるお友だちに言われました“園長先生、リモコンどこ?”なるほど、今は電気の道理も知らず、便利なことを享受しているだけでなんですね。リモコンの時代に敢えて、ひもを引っ張ってつけたり消したりする方式で、電球の中の作りと言うか?明りのつく仕組み、電気の道理を実感して欲しいなと思っているのです。電話がつながることを伝えるのに糸電話ごっこをしてみるのと似ています。(携帯電話は使えるが、糸電話では遊べない子どもたち)
・雨どい…例えば雨の日、雨をマンション10Fの部屋から眺めた時に感じることは・・・雨よりも白い空かもしれません。窓を開けて傘を差している人たちを見て始めて雨を感じていませんか?この子どもたちが大人になった時の社会は地下鉄やビルの連結でまったく雨に濡れなくても過ごせる時代、一生雨にぬれない時代?に生きているかも知れません。『幼児期には、雨をしっかりと実感してもらいたい』そうすれば、将来、小説を読んだときなどにも、ザーザー降り、土砂降り、しとしと雨、こぬか雨…いろいろな情感を感じると思います。そんな思いから、幼稚園の屋根は雨が降ると何箇所かにある大きなトヨ?(正式にはガーゴイル)から滝のように雨が落ちます。その滝に触れてみるのも楽しいし、一度濡れれば濡れないように注意もしますね。その上、滝の勢いや量によって降雨量も判ったりして…。一度雨の日にご覧ください。とてもおもしろい光景です。
・裸足で過ごす…裸足で過ごすと土ふまずの形成が速いと言われています。そして、足裏、土ふまずは、脳の成長とリンクしていると言われています。育ちへの応援。
・職員室は、田舎の農家の大広間コミュニケーション…とにかくコミュニケーションが早く出来るようにしています。情報をみんなで共有しやすい環境、子どもたちをみんなで見て行けるようにしています。
・戸をしめる、すきま風で育つ…高密閉の部屋に住まう時代、わざとすき間風を感じてもらうこと、すきま風の冷たさを感じ、戸をしっかり合わせる…物事をきちんとするくせ付けをする。
・外が見える窓、音が聞こえる部屋づくり…育てたいのは集中力、静かな中での集中力も大事ですが、まだ静かな中でテストしたりする年齢ではありません。むしろ、一生に渡って必要な集中力は、様々な音がする状況、雑踏の中での集中力なのです。皆さんも仕事や日常生活の中では様々な音がする中で過ごしていますよね。私は、大人も子どもも人間は同じ原理があると考えています。その原理とは、人間は見ようとするものしか見てないし、聞こうと思うものしか聞いてないと言うことなのです。例えば、子どもたちが騒然と遊んでいるお部屋の中で、担任が普通の声掛けで“おかたずけしましょう”と声をかけるとみんなかたずけ始めます。雑然とした中でも、先生の声をしっかり聞いていると言うことなのです。
・園庭をわざとガタガタにつくっている…子どもが走り、よろけたり、転ぶ…そんなことをしながら体感・体の軸を形成しやすくしています。バリアフリーの社会、確かに正しいと思いますが、子どもの育ちには、スムーズ過ぎてバランスを崩す体験が乏しすぎ、体感の弱い子どもが増えるような気がしています。実際、転んでも手が出ない子が増えていますね。

私たちは、様々なことを通じて、子どもが育つ環境はちょっと昔の少しの不便さがある状況が良いと考えています。例えば、電球のひもを引っ張るようにちょっとした不便さをあえて作っています。その不便さに出会うと子どもたちは何らかの工夫をします。私たちはその工夫するところにこそ育ちが出てくるものと信じています。これこそが、“子どもが育つところ、ふじようちえん”と言っている所以なのです。
ちょっと昔の少し不便(すごい不便じゃ大変)の生活環境づくりをし、なつかしさこそ、未来に生きる子どもたちが育つと伝え、“Nostalgic Future!! なつかしい未来”と言っています。まだまだ“子どもが育つところ、ふじようちえん”のことを沢山伝えたいのですがまたの機会にします。ふじようちえんは、さらに本物とか、道理とか、実感という要素を整え、より子どもたちの育ちに貢献できる園として、皆さまに大切に思われる存在になれるように精進して参ります。どうぞよろしくお願い致します。

園長だより vol . 153 (2015.6.29)