ふじようちえん

2015年10月30日 園長だより

2015年10月30日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

心地良い空気が流れている秋の園庭を眺めていると、芝生は緑から枯草のように、そして、ケヤキの葉も赤みを帯びて来ています。幼稚園の秋はこんな感じで深まり、やがて肌寒さを感じつつ、冬になって行きます。落ち葉を貯めた‟落ち葉プール“に飛び込める?日も近づいてますね。
皆様、いかがお過ごしですか?秋、梨狩り、芋ほり、ぶどう狩り…楽しまれましたか?私は、新そばが楽しみです。季節の変わり目、風邪などひかぬようご自愛下さい。

さつまいものつる狩り、おいもほりにお手伝い頂き、ありがとうございました。お陰様で、子どもたちは、自らの手でお芋を見つけ、掘り出せました。自分で、さつまいもを掘りだした時のキラキラした目は、達成感、満足感でいっぱい、自信が芽生えた瞬間でもありました。おいも掘り、育っていたのは、さつまいもだけでは無かったようです。
掘ったさつまいも、幼稚園で水洗いし、土を落とし、日に干して、甘みを強めて、今日、食べました。美味しい愛しいさつまいも、とても美味しかったです。さらに、さつまいもの絵を描いたり、さつまいも版を作ったり、様々な関わり合いをしながら、さつまいもの秋は過ぎていきます。さつまいもで育つ秋‼

さて、先日の運動会、大変多くのご家族様にご参加ご協力頂き、無事終了することが出来ました。心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
『親も子も育つ運動会』と称して開催した本年の運動会でしたが、筒型空気入りプログラムでたくさんの応援をして頂いたお陰で、大変盛り上がりました。特に年長のリレーでは、会場が一体となる声援で、涙が出るほど感動する場面になりました。一所懸命に頑張った子どもたちと一所懸命に応援頂いたご家族にとって、大袈裟かも知れませんが、それぞれの人生で大切な思い出の一日になったことと思います。まさしく、みんなが大切な金メダルを手にした一日でしたね。ランチもおいしかったしね。

≪学びのスタイルについて考える≫
日本でも一般的な学習スタイルは、スクール形式と言って、先生がいて子どもたちがいて、一斉に絵を描いたり、歌を歌ったり・・・が行われています。
ふじようちえんでも、行っている場面もあります。ただ、このスタイルの場合、単に知識の伝達になりがちで、本来の理解には至らないことがよくあるのです。
また、最近は、プレゼンテーション形式で、スクリーンで様々なことを伝え、それを学ぶスタイルも増えて来ました。確かに分りやすいし、便利に伝えられる道具ではあるのですが…幼児期にふさわしいか少々疑問も残るのです。幼児期に無機質な画像で何がどう伝わるのでしょうか?何が育つのでしょうか?
時代の要請でIT化は、避けては通れないのは承知していますが・・・。。
私は、このような画像より、先生が読む絵本の方が数倍も子どもの育ちには貢献するものと考えています。確かに、静止している絵を見ながら聞える声と言う点では同じですが、絵本の読み聞かせには、そこにある空気感、息づかい、ページをめくる時のワクワク、ドキドキ感、そしてお話しの展開を考えること創造力が育つのです。
つまり、スクリーンでの画像学習はとても受動的な学びのスタイルです。それに比べて絵本の世界は、自ら考え想像し、とても能動的な学びのスタイルなのです。一生学び続ける姿勢は“常に考える”だと思います。“常に考える”ことをクセづけさせるには、幼児期、絵本の中のお話の展開を想像することから始まるのかも知れません。

≪個人差を認める‼≫
さて、私はモンテッソーリ教育で大好きな観点の1つが「多様性」であります。日本社会は、ともすると『みんな一緒が一番好まれる』側面を持っています。でも、時代の変化と共に個人のパーソナリティーが注目されているのも社会の現実です。
例えば、ふじようちえんの子どもたちが着ているFuji Tシャツですが、よくこれは園服ですか?と聞かれます。私は「いや、ただのTシャツです」と答えます。でも、ほとんどの子どもが着てくれています。このTシャツ、このクラスはこの色、とか言う決まりはありません。『自分の着たい色は、自分で選びなさい』と言っています。
その根底には、人は、それぞれが違うのが当たり前、一人一人の違いを全部認めてあげようと思っているからなのです。つまり、自分は何をしたいの?自分の意志を出しなさい、表現しなさいと、モノ言わぬ周辺環境が子どもに問いかけているのです。
これは、ランチにも応用されていて、毎日、幼稚園で作るランチか、持参するお弁当、どちらでも選べるようになっています。他にも様々なことで、子どもたちの意志を聞いていることが多くあります。子ども自ら育つ力を発揮させるには、常に『あなたは、どうしたいの?』と自分の意思を発揮してほしいと思っています。
何かを教えて、出来た!!と言うことも大事ですが、自分の意志を出すことによってできたことの方がより良いし、自立へと向かう方向だと考えています。

≪脳は、学ぶ臓器≫
9月初め、アメリカ・サンフランシスコからMartha Kaufeldt女史という著名な脳科学者がお見えになりました。ふじようちえんにご興味を持ったとのことです。
マーサさんによると、ここ約20年、脳の研究が進み、脳の働きがだいぶ分ってきたとのこと。専門の方々から見ると、拙いお話ですが、脳神経のニューロンの動きが活発になり神経細胞どうしがつながり、徐々にしっかりしたものになって行くことが脳の成長であり、発達のメカニズムに結びついているというお話しをして頂きました。
園の環境を見て回られた教授は、『この建物は、脳の育ちに寄り添う建物ですね』と言われました。一般的な四角い教室環境は、脳の育ちと対立してしまう造りだと言うのです。そして、脳は、常に学びたがっている、学ぶ臓器だとも教えて頂きました。
園長席の前に置いてある野菜や虫、魚や花を見て、こんな風に子どもが手でさわれる環境こそ重要であり、自ら気づくことを体験させることが大事だと言われました。
ヘッド、ハート、ハンド(Head Heart Hand)は、さわって、認識し、様々なつながりを求めて想像し始める脳、そこに様々な成長が見られていくものと考えます。

園長だより vol . 157 (2015.10.30)